GENKI HIROSHIMA

コロナショックでさまざまな業種・事業者が影響を受け、広島の「モノコト=文化」が弱りつつある中、必要とされるのは人々が力を合わせること。
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広島を元気に。
一人ひとりが生み出してきた広島のカルチャーを、伝えます。

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元気広島 事務局

深夜的中华食堂
FOOD 中

カウンター越しの空間で
センスが光る”おまかせコース”を味わう

広島の繁華街・流川、ダイヤモンドビルの1階に店を構え、四川料理をベースにした本格的な中華料理を味わえる「深夜的中华食堂」。お店を見つけるときは、店名ロゴ入りの看板を目印に。店内はカウンター席のみで、馴染みの客が多く、女性一人でも安心して行ける穴場的スポットだ。壁には、映画ポスターやアーティスト作品をオマージュして作られたユニークな周年記念ポスターも。また、店内では音楽が流れており、その都度客好みの曲をかけてくれる時もあるという。

メニューは、店主おまかせコースがおススメ。その日、その場で会話しながら客の好みを聞き、料理を提供するしくみ。おまかせコースは基本的にメニューに載ってないものが中心で、買い出しの際、面白い食材や気になる食材があればメニューに入れ、提供するのだそう。旬の食材を使って日替わりの内容になっているので、いつ行っても新鮮で楽しめる。カウンターの良さを最大限に活かし、一人ひとりに”特別感 ”があるのも魅力だ。コースはお腹の具合を見て、「次、麻婆豆腐お願いします」の一言で終了。山椒などで舌が痺れると他のものの味がわからなくなってしまうため、麻婆豆腐は基本的にシメで出すという店主のこだわり。

酒類は、ビールやハイボール、日本酒、ワイン、黄酒(ホワンチュウ)など種類は豊富。これまでその組み合わせに触れたことがなく衝撃的だったのだが、中華料理と日本酒は実は好相性だという。日本酒好きの店主が目利きしたものは、奈良県の「花巴(はなともえ)」や「睡龍(すいりゅう)」など銘柄は様々。日本酒を選ぶ基準として、中華のしっかりした味付けに負けないような ”どっしりとした味” の日本酒を揃えていると話す。ぜひ、中華料理と日本酒の組み合わせも試してみて。

「深夜的中华食堂」という店名のイメージから、「深夜に訪れるべき?」と思う人も多くいるそうだが、”深夜的”というのは”深夜まで開いているよ”という意味合いから付けたのだそう。また、「2人以上で来店するなら、予約をしてからの方が確実」とのこと。時間に余裕のある時に、一軒目で訪れたい店である。実際に足を運び、各々の五感で「深夜的中华食堂」を体感してみては。

料理を食べる空間・体験がおもしろく印象的なので、一例として筆者が訪れた”とある一日”の話をしよう。

コースはエビの紹興酒漬けからスタート。殻の剥き方は店主が教えてくれる。まずは頭の殻をむき、濃厚なミソをしゃぶる。そして腹部の殻を剥き、新鮮でプリプリな身を食べる。味は例えるならカンジャンセウ(韓国の定番おつまみ)のような風味で、お酒がとにかくすすむ。美味しく食べるポイントは、かしこまらず手で、周りを気にせず豪快に食べることに尽きる。

次は、メニューを見たときから気になっていたよだれ鶏。ピリっとした辛さで、タレは深みのある味。満足感あるお肉の量で、旨味を存分に味わえる。そのタイミングでおススメのお酒をお願いすると、「紹興酒飲んでみますか?」と、店主。紹興酒に苦手意識だけはありつつ、「飲まず嫌い」だったため、これを機に挑戦してみることに。そこで登場したのが、銀朱鷺黒米酒(ヘイミー)という「黄酒」と呼ばれる中国最古のお酒。黒米と呼ばれるもち米を使用し、作られているそう。「紹興酒」はこの「黄酒」を紹興という地域で作っているため、紹興酒と呼んでいるとのこと。この黄酒の飲みやすさには驚いた。ワインのような飲み口で、ほのかな酸味がたっており、甘さは控えめ。何の違和感もなく、スっと喉を通ってしまう。”紹興酒は飲みにくい”という自身の中の固定観念が覆された。あまりの飲みやすさに驚いていると、店主がこの店での”こだわり”を教えてくれた。通常、黄酒は常温で飲むことが多いそうだが、ここでは冷やした黄酒が提供される。それが飲みやすさに繋がる理由でもあるそう。「この店では様々な紹興酒を揃えている。紹興酒を好きになる入り口になったら」と話す。

その後も店主おススメのお酒とともに、小籠包やインゲンとそぼろの炒め物、春巻き、油淋鶏など美味しい料理に舌鼓を打つ。そしてシメの麻婆豆腐。山椒が効いてピリピリとするが、辛すぎない。素材の味も感じる、絶妙なバランスだ。本来ならここでコース終了なのだが、隣のお客さまが頼んだ酸辣湯麺を、ハーフでいただけることに。ほどよい酸味と、柔らかい風味の卵が絡まった麺は本当においしい。優しさを感じるホッとする味である。

店主と会話したり、偶然その場で出会ったお客さまと会話したり、一人でゆったり食に専念するも良し。空気感を楽しみながら、食事は人の心を動かし得るものなのだと実感した時間であった。

深夜的中华食堂

〒730-0022 広島県広島市中区中区銀山町11-25 第1ダイヤモンドビル 1F
営業時間:19:00~3:00
定休日:なし

TEL:082-248-0655 ※営業日時等は随時変更の可能性があります。事前にご確認のうえお出かけください。

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