割烹 華家
親子二人三脚でつくりだす
ホッとするおばんざい
開業から25年以上、親子で店を切り盛する「割烹 華家」。まずそそられるのは、カウンターにずらりと並んだおばんざい。ポテトサラダ、すじ煮込み、魚の味噌漬け、なすの田楽、煮物などつねに13品くらいの家庭料理が大皿に盛られ、湯気とともにおいしそうな匂いが漂う。メニューはない。しかし、カウンターを見れば一目瞭然だ。
魚の目利きでもある板長が中央市場で買い付け、いい魚が手に入った日には、今日のおすすめ(刺身、焼き物、揚げ物)として登場する。いつもお眼鏡にかなう魚があるとは限らない。そんなときはスパッと切り替えて野菜中心のおばんざいを作るのだそう。
オープン当初から通い続ける常連客、そんな常連客に連れられて以来すっかりファンになる客が多い。「うちには飲み慣れたマナーのいいお客さんばかりなんですよ」と娘のえっこさんは明るく話す。アルコールを注文したら肴はおまかせという人や、食べたいものをリクエストする人もおり、気心の知れた間柄からなるアットホームな雰囲気だ。
一年を通して人気の「すじ煮込み」は、いつ来ても変わらない味。よくよく煮込まれたなじみの味。「変わらない」という安心をもたらすのは、「このまま細々と続けていければ」と言う親子の謙虚さに表れているのかもしれない。だから常連客にとって華家は大切なよりどころでもある。